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会社設立の事業目的はどう決める?書き方・具体例と許認可の注意点を司法書士が解説

著者 工藤 拓弥

司法書士・行政書士

会社設立登記を中心に、許認可申請や補助金など、創業時に必要となる各種手続きを支援している。
自身で創業支援会社を経営しており、単なる手続きにとどまらず、事業開始後を見据えた支援を重視している。

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会社設立時の事業目的は、これから始めようとする事業だけでなく、将来の事業展開や許認可の予定までを確認して決める必要があります。事業目的の「具体性」そのものは現在の登記審査の対象ではありませんが、明確性・適法性は別に審査されます。また、登記できる表現と、許認可申請で求められる表現は同じではありません。

この記事では、事業目的の作り方、許認可の種類ごとの違い、具体例、設立後に変更する場合の手続を解説します。

※記載例はそのままコピーせず、予定事業と所管行政庁の最新要件に合わせて確認してください。

会社設立時の事業目的とは

事業目的は、会社が行おうとする事業内容です。株式会社でも、合同会社でも、定款に必ず書く「絶対的記載事項」です。さらに会社の事業目的は登記事項となりますので、登記事項証明書を通じて第三者が確認することができます。

具体性・明確性・適法性・営利性を分けて考える

観点現在の取扱い実務上の注意
具体性会社法施行後、具体的かどうか自体は登記官の審査対象ではありません抽象的すぎると許認可や取引で不利益が生じる可能性があります
明確性現在も登記審査の対象です何の事業か客観的に理解できる表現にする必要があります
適法性現在も登記審査の対象です法令や公序良俗に反する目的は登記できません
営利性現在も登記審査の対象です営利性のある事業であることが求められます

「コンサルティング業」のような抽象的な表現も、登記できないわけではありません。一方で、対象分野や提供内容を明記した方が、取引先や金融機関へ自社の事業の説明をする際に、一貫性が持たせやすいというメリットがあります。

事業目的を作る5つのステップ

  1. 現在の事業を棚卸しする:商品、サービス、顧客、提供方法を具体化します。
  2. 近い将来の事業を加える:実行予定や関連性がある事業を対象にします。
  3. 許認可の有無を確認する:申請先、申請区分、固定表現の有無を確認します。
  4. 第三者へ説明できるか確認する:事業計画、Webサイト、契約内容と齟齬が生じないように注意します。
  5. 後日の変更の負担とのバランスを取る:目的が狭すぎたり、無関係な目的の大量列挙を避け、良い塩梅にします。

事業目的の記載例

以下は、あくまでも一例です。そのまま登記に使えることを保証するものではありません。

予定事業現在の事業と近い将来の事業記載例
Web制作現在はサイト制作、将来は保守運用ウェブサイトの企画、制作、運営及び保守
IT支援現在は導入支援、将来はシステム開発情報システム及びソフトウェアの企画、開発、導入、運用及び保守並びにこれらに関するコンサルティング
小売現在は日用品のEC販売、将来は輸入・店舗販売日用品の販売及び輸出入

一般に広く認知されていない専門用語や外国語を使用する場合は、括弧書きで説明するなど、登記事項証明書を読む第三者にも分かる表現を検討する必要があります。

許認可が必要な事業の考え方

登記審査と許認可審査は別です。「登記できたから許可が取れる」とは限りません。

許認可事業目的の考え方
宅地建物取引業事業目的に宅建業を営む旨の記載が必要です。
「宅地建物取引業」「不動産の売買、媒介」などを記載し、「不動産業」のような曖昧な記載は避ける必要があります。
古物商「古物営業法に基づく古物商」のように、古物商として営業することが読み取れる記載が求められます。
建設業行う工事の種類に応じて書き分けることが推奨されます。全業種を網羅する場合は「土木・建築工事の請負及び施工」などと記載します。

許認可業種の事業目的を検討する際には、必ず、許認可申請先の最新の手引き等を確認する必要があります。
なお、許認可には、目的以外にも人員、事務所、財産、経験などの要件がありますので注意してください。

事業目的はいくつまで書ける?

会社法上、事業目的の個数について一律の上限は定められていません。「5個が正解」「10個が法律上の上限」といった決まりもありません。現在の事業と近い将来に具体的な予定がある事業を中心に、第三者が会社の中心事業を読み取れる範囲で記載することが推奨されます。

会社設立後に事業目的を変更する場合

会社形態定款変更変更登記
株式会社原則として株主総会の特別決議目的変更登記を原則2週間以内に行う
合同会社原則として総社員の同意目的変更登記を原則2週間以内に行う

将来事業を含めることには変更負担を抑える利点がありますが、実施予定のない無関係な事業を大量に並べる必要はありません。

目的変更登記の登録免許税は、通常、申請1件につき3万円です。ほかの登記事項を同時に変更する場合は、課税区分によって追加の登録免許税が生じることがあります。

事業目的で起こりやすい失敗

  • 許認可の最新手引を確認せず、一般的な例文だけで決める
  • 予定のない事業を大量に追加し、中心事業が分かりにくくなる
  • 競合会社の目的を自社の事業・許認可と照合せずコピーする
  • 事業計画、Webサイト、契約内容の説明と一致しない

会社設立前のチェックリスト

  • 現在提供する商品・サービス
  • 近い将来に始める予定の事業
  • 必要になり得る許認可と申請先
  • 事業計画や契約内容との整合性

よくある質問

事業目的が抽象的でも登記できますか?

具体性は登記審査対象ではないため、抽象的な事業目的でも登記することは可能です。
ただし、抽象的な事業目的だと、許認可や取引、金融機関との関係で不利益となる可能性があります。

許認可に必要な文言はありますか?

許認可の種類により異なります。
固定文言が示される場合もあれば、目的全体から事業を読み取る場合もあるため、申請先の最新手引を個別に確認する必要があります。

事業目的を変更したら登記が必要ですか?

事業目的の変更登記が必要です。期限は、変更が生じた日から2週間以内です。目的変更登記の登録免許税は、通常、申請1件につき3万円です。

「前各号に附帯または関連する一切の事業」は必要ですか?

法律上必ず入れなければならない文言ではありません。また、この一文を入れても、許認可申請で個別に求められる具体的な事業目的の記載を当然に代替するものではありません。予定事業と申請先の最新手引に合わせて判断する必要があります。

事業目的と許認可を会社設立前に整理する

当事務所では、創業者が会社設立後、事業を円滑に進められるよう、事業目的の書き方のご相談もお受けしております。お気軽にご連絡ください。

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